COCOBAT
『RHYTHM OF FEAR
"TRIPLE CRUNCH"1991〜2001』

@新宿LOFT 2001/10/28


-SET LIST-

01.ARANA
02.HAND NUTS
03.SPOOKY
04.SPAGHETTI
05.CHEESE&SWORD
06.I vs I
07.TSUKIOOKAMI
08.VALETUDO
09.DO THE STRETCH
10.NUMEROUS
11.GRASSHOPPER

-"ORIGINAL COCOBAT"SET LIST-

01.TAKE CARE OF YOUR ASS
02.UGRY SHIT NEED MORE PAPER
03.STRUGGLE
04.CAN'T WAKE UP
05.GUY
06.LIE
07.COCOBAT CRUNCH
08.UGRY SHIT NEED MORE PAPER
-E.C.-
09.ANOTHER ME


第一章〜はじめに
 雨が降ったり止んだりしている夜の歌舞伎町を通りぬけ、18:40 新宿LOFTに到着。まだ外でウロウロしてる連中多数。というのも今日はソールド・アウト公演のため番号順の入場 だったのだ。会場時間をとうに過ぎていたため僕はさっさと入場。ビラ一式に加えサンプルCDを渡される。大砲と PULLING TEETHのだ。
 会場20分前なのにもかかわらず既に多くのお客さんがフロアを埋める…とみせかけてモッシュピットはガラガラだ。 ステージを覆うスクリーンには昔のANTHRAXのクリップが上演されていた。スコットイアンがまだふっさふさだった頃の ヤツだ。僕はPA前に陣取り、あぐら。ビラに一通り目を通し終えた後、暫くするとあまりの混雑ぶりにスタッフより "全員起立命令"が発せられる。スピーカー音量がグッと上がり、しばらくすると客電消灯。ステージが怪しい光りに包ま れる…


第二章〜PULLING TEETH
 まずはPULLING TEETHの登場だ。観るのは多分2回目だが曲は殆 ど知らない。1曲目は"YES,PULLING,YES"。怒涛のハードコアサウンドが炸裂。このバンド、ウッドベースがビチバチ ビチバチ本当に気持ちいい。鈴木のギターはディストーションサウンド一辺倒ではなく、意外にも多彩なサウンドを使い 分けていた。が、切れ味が尋常でないディストーションサウンドはヤセ気味且つブライト(狙っているのだろう)で、耳あ たりはあまり良くなかった。しかし喉の調子は絶好調!めちゃくちゃカッコいいスクリーミングヴォイスを声を披露してく れた。
 1曲1曲が非常に短く、「え!!もう終わりのっ!?」ってな調子で立て続け演奏され、ライヴ運びにさえ疾走感を感じる。 メインMCはベースの人で、ダーティな言葉使いで客を煽ってる…つもりなんだろうけどイマイチ迫力に欠ける。声が優 しいのだ。この人多分良い人だ!!でもベースはマジすごかったです…。(19:35終演)


第三章〜DESSERT
 プリングティースの濃いライヴが終わると人込みを掻き分けてトイレットへ。おしっこジャー!!その後カウンターで紙切 れをコーラに換え、一気に飲み干す。その後さっき自分のいた所に戻ろうとするも、もんのスゴい人の多さでなかなか 前に進めないわ、戻ったわ良いけど座れるわけないわでまさにすし詰め状態!!いや〜、やっぱこうでなくちゃ〜などと 思っていると場内暗転。メタリカの"BATTERY"のイントロが静かに流れ始めた・・・

 幕がスーっと上がると登場したのはDESSERTだ。3度目の今日 はどんなライヴを見せてくれるのか、期待が高まる。"BATTERY"の"あの"イントロパートが終わると、いかにもなタイミ ングでズガァァァ!!!!っとヘヴィなリフを入れてきた。やっぱそうきたか〜〜〜っ!!!!そしてRYUJIのヴォーカルが今日もい い!!カッコいい!!唄はもちろん、今日もヤバめのステキな目をしている。本当に良い(恐い)。このバンドは楽曲とギター サウンドに若干の弱さを感じるものの、RYUJIのカリスマ的ともいえるその圧倒的な存在感でステージ、いやフロア全 体をも包みこんでしまっているように思える。
 20分足らずという短い持ち時間であったが、RYUJIの凄まじいステージパフォーマンスに見とれていた僕にはもっと 短い時間に感じられた。(20:10終演)


第四章〜COCOBAT
 後ろのお客さんがスッといなくなったのを確認し、すばやく体育座りをキメ、一服。そのうちしゃがんでいるのも窮屈 に感じられたため起立。そういえば満員のライヴハウスなんて初めての体験である。ロフトのフロアは横長の長方形 で、北西側にステージがあるため東側の方が広くなっているのだが、その奥〜のほうまでびっしり!!壮観であ る。スクリーンに映るアンスラックス&スケボーヴィデオが消え、場内が暗転するとなにやらレトロ且つ滑稽なアメリカ ンポップス(?)が…ものすごい選曲だ。

 メンバー登場。いつも通り上半身裸TAKE-SHITといつも通りのハットを被ったHIDEKIがそこにいた。1曲目は "ARENA"がウルトラヘヴィに炸裂!TAKE-SHITの高域ををブーストしたサウンドは今日もゴキゲンで、ギンギン鳴って いる。しかーし!お客さんの頭で肝心の手元が見えないYO!!続いてモダーンな新曲2曲を披露すると幻想的なアルペ ジオが場内に響き渡る…"I VS I"だ。ギラギラと跳ねるチョッパーとKOJIのヘヴィなギターリフが結合し、静寂を打ち 破る展開を持つステキな曲である。続く"TSUKIOOKAMI"もいい。その後MCの類は一切無いまま、立て続けに 「RETURN OF GRASSHOPPER」からの曲が披露される。そしてラストは"GRASSHOPPER"!!これまでで一番の盛り上 がりを見せる。曲が終わると同時にHIDEKIの今日唯一のMC 「ドウモアリガトウゴザイマシタ」で終了…あれ?大切なアノ曲をまだ演っていないのに…。
 "?"マークが浮かんだままメンバーはさっさとステージを後にする…。歓声が一旦鳴り止むと、静寂のなか客の一 人が「TAKE-SHIT、RYUJIとSUZUKIと演れよ〜!」と、発言。妙な空気になり、なんだかもどかしい終わり方だった。客 電が点灯し、ウェスタン調のSEが流れ始めた。(20:55終演)。


第五章〜オリジナル・ココバット
 僕は気になっていた。PULLING TEETHのSUZUKIは元ココバット。 対バンやったけど不仲ではないのだろうか?それにさっきの客の発言。なぜ DESSERTのRYUJIの名前を出したのか…。両者とも謎が解けるの はしばらく後のことだった。ところで客は誰一人として帰ろうとはしない。まだ何かあるんだろうか?僕は半信半疑のま まその場に直立していた。

 そして5分程過ぎた後、やはり場内が暗転した…

 誰の曲かは分からないが、カッティングや小技を交えたスローなギターコードの掻き鳴らしが場内に流れ始めた。そして 静かに幕が上がる。暫くしてステージにはTAKE-SHIT、RYUJI、SUZUKIが姿を現す…(後日、ドラムはココバット2代目 ドラマーMOROCHINであったことを知った)。場内は物凄い歓声である。僕はこの時「あ〜、なんかセッションでもやるの かな〜」くらいにしか思っていなかったのだが、隣にいたねーちゃんらの「あの歳になってまたあの3人が横に並ぶなん て信じられないわ〜!!」というような発言がが耳に入ってきた時、まさか…と思った。そうしているうちにTAKE-SHITの破 壊的なチョッパーが場内に轟き、RYUJIが強烈にシャウトする。間を置かず秒殺ソング"UGRY SHIT NEED MORE PAPER" が猛然と駆け抜けて行く。3曲目はミディアムテンポの"STRUGGLE"でまたーり。続いては名曲"CAN'T WAKE UP"!! …この曲でようやく謎が解けた。

 ヴォーカルスタイルは当時とは異なるが、RYUJIの声って、ココバットの1st「COCOBAT CRUNCH」のヴォーカルの声 じゃん!!なんとDESSERTのRYUJIはココバットのオリジナルメン バーだったのだ・・・なんで今まで気がつかなかったのだろう。僕はいま目の前で起こっていることの重大さにようやく気 づき始めた。そう、これは紛れもない、今夜限りの再結成ココバット(実際にはこの後名古屋、大阪にも回った)なのだ !!僕のヘドバンに一層拍車がかかる。いや〜しかしノれる曲である。最高だ。メンバー達もかなり楽しんでやってい る様子。続く"GUY"もタマらない。ダイヴ志願者も続出。そして誰もが待ち望んでいたであろう超名曲 "COCOBAT CRUNCH"が始まった時にゃ鳥肌が立ちました。お客さんは狂乱状態。隣のねーらんらもキャーキャー悲鳴 をあげている。僕も記念に一緒に唄いました。んでもう一度"UGRY SHIT NEED MORE PAPER"を演 って本編終了。だが歓声と拍手が鳴り止むわけがない。隣のねーちゃんは感極まって泣いているのに、このまま終わ るわけにゃいかんだろう。

 程なくしてメンバー再登場。入魂のチョッパーが炸裂し、名曲"ANOTHER ME"が始まった。SUZUKIのキレ味鋭い リフがタマらない。曲が終わると名残を惜しむ素振りも見せずメンバーがステージを後にする。TAKE-SHITがお客さ んに軽く会釈をすると再び大きな歓声が起こった。そして二度目のアンコールをする間も与えずに客電が点灯し、ピア ノによるSEが流れ、夢のような時間に終止符が打たれたのだった。(21:30終演)

 一人一人が現代日本ハードコアシーンのスター的存在のオリジナル・ココバットは、オールスターの共演そのものだ った。物凄いオーラを発しながらの演奏は、タイトかつパワフルで、観ていて本当にゾクゾクした。今のココバットと初代 ココバットとを比較するのはナンセンスであることは承知の上で言うが、正直後者の方がカッコ良かった。こんなクール なイベントが毎年あればいいのに、と願いつつ僕は会場を後にした。


©2001 HANGER59